前歯のレジンの修繕が終わり、歯医者は2回で卒業となりました。強制的に9月末に予約を入れられたのですが、果たして、その時まだグンマー県民なのかは不明です。来月自分がどこに住んでいるかもわからない風来坊です。
自分のことを棚に上げて人口問題や土地問題を最近よく考えます。
本やらブログやら人の話やらで最近思うのが、2022年現在「一人暮らしをするというのは、自立するということなのだ」という風説が本邦の一般常識だが、それは本当か?ということです。
というのも、実家に帰ったときに父親が見ている「ポツんと一軒家」なる番組で、限界集落のそのまた奥に一世帯だけ住んでいるような家が、いわゆる「家を守る」という概念をいまだに守っているのを見たからです。これを見て、大学の同級生の、いわゆる地元の名士の長女のある子を思い出しました。きょうだい全員女の子なので、自分が婿を取って家を継ぐことが確定しており、案の定地元県から出ない仕事に就きました。
ポツンと一軒家(ここでは、奥山家、とでもしましょうか)の長男に生まれた時点で、ほとんどその家を継ぐ宿命です。よくあるルートは、高校卒業と同時に家業を継いでとか、地元の農協に就職して、そこで奥さんをもらって、子を成して、家を守っていく・・・というものです。この場合、この長男は、生まれてから亡くなるまで、一度も実家を出ないことになります。
さて、この長男氏は、一人暮らしを生涯全くしていないことになりますが、自立していないのでしょうか?
この場合、たとえ生涯一人暮らしをしなくとも、嫁を娶って(馬から落馬?)子を成し、老いた両親の面倒を見ていれば自立とカウント、ということになるのでしょうか。
次のパターン。「ポツんと~」では、まあまあ未婚の男性が主として登場する場合があります。この場合、ほぼ間違いなく彼でその家は断絶します。さて、老いた両親の面倒を実家で見る、自分が末代のこの独身男性は、自立しているといえるのでしょうか?
献身的に母親の介護をしていても、実家住みの時点で
つまり、自立しているという要件には、
- 既婚であること。この場合、実家住みでもよい。
- 未婚の場合、実家を離れていること。あるいは、定職に就いていたり自営などである程度の収入があり、生計が立てられていること。なので、女の家を渡り歩くヒモや生活保護を受給してる場合は、自立していない、というカウントをされてしまいそうです。
あたりが当てはまりそうです。
そう考えると、「実家を離れていると自立している=良い年して実家暮らしは自立していない!」「(パートナー選択における)実家暮らしの男/女なんて、こちらから願い下げだ!」みたいな考えは、思ったより新しい概念、常識の刷り込みなのかもしれません。思えば私の母も弟も、生涯一度も一人暮らしをしたことがありません。というか、一族郎党で一人暮らし歴が一番長いのが、おそらく私です。
その刷り込みは、なぜなされたのでしょう?と考えると、20~30代の未婚の男女が実家住みだと困る業界、安直に考えれば賃貸屋さんとかでしょうか、あたりが、喧伝した結果が、いつの間にか社会常識になってしまったのかもしれません。
そもそも、2020年代からは世帯数は微増も人口は急減フェーズ。その世帯数もそろそろ頭打ちで減少していきます。世帯数の微増は、親世代との同居を忌避する現役世代、現役世代との同居を遠慮する親世代の存在が一因としてあります。その原因はどうでも良いのですが、一人暮らし世帯というのは、現在最も多い世帯の形になっています。「父親+母親+子ども二人」という、しんのすけ一家のような「標準的な世帯」なんてのは、もはやレアな存在なんですね。
そんなご時世で、こういった「一人暮らしは自立~」などという言説は、もはや過去のおとぎ話になってしまうかもしれません。そもそも若者は一人暮らしをしたくてもできない収入の子は珍しくなく、田舎ならたとえ定職に就いていても結婚するまで実家ぐらしというのは全く珍しくありません。
まとめると、掲題の「一人暮らしは自立のあかし」というのは、ただの刷り込みだった可能性がありますよ、という話です。特に何かを解決したいとかそういうことではありません。
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