文学部プログラマー

2021-12-11

IT

パソコンをいじっている女子学生たち

私はRuby on RailsやJavaScriptやPythonを書いて日銭を稼いでいる会社員です。

プログラミングを生業としているわけですが、出身学科は文学部の日本語学科というところで、日本語の文法やら意味やら作文やらの研究を修士までしていました。

プログラマー=理系、あるいは情報系の専門学校卒、というイメージはいい加減払拭されてきたと思います。その中でも文学部プログラマーというのは結構いらっしゃるのではないか、と思います。

就職に弱い文学部は嘘

21世紀も5分の1が終わり、年功序列がゆっくりと傾き始めジョブ型労働とか何とかいわれていますけど、相変わらず「文学部は就職に弱い」という言説が世に漂っています。

これは半分以上は嘘ですが、本当の側面も多分に含まれます。

まず本当の部分から。やはりどうしても文学部出身だからということで嫌厭される業界というのは存在します。金融系とかその傾向が強いという話は聞きます。ただ、そういう業界を志望するならそもそも大学入学時点で社会科学系の学部に入っておけよ!とも思います。

一方、私の父が就職活動をしたころ(=1980年代前半ですね)は、そもそも文学部出身というだけで銀行や保険会社など、エントリーすらできない業界というのも存在したようです。その時代に比べると、学部差別というのは無くなっているように感じます。私の同級生や知人も金融業や保険業に従事している人はまあまあ見受けられます。

次に「文学部は就職に弱いは嘘」という側面もあります。これ、正しくは「就職に弱いやつが集まっているのが文学部」ということです。

そもそも、高校生の時点の進路選択で文学部を選択する時点で、世俗の塵芥にまみれた金稼ぎというか、そういう実体のある経済活動に対してしり込みしがちというか、それよりは観念的な概念を追い求めることを優先する浮世離れした人がわざわざ文学部に入ってきます。

また、文学部に入る人間というのは、この記事でもある通り、

文学部生すべてに言える気がするが、仕事なんて一切考えずに趣味の追求のためであった。そして仕事は仕事で、別で独学で覚えればいいというのが基本スタンス

という意識が割とあるのではないかと思います。私なんかは幸運なことに専攻内容が結構マッチした会社(※1)に入ることができてしまったわけですが……。

※1:社員の大部分が文学部出身の会社

文学部プログラマーの適性

といっても、文学部の中でもプログラマーとしてやっていける人と、そんなの絶対無理!という人がいるのは事実です。

1. 親和性の高い学部と低い学部がある

言語学とか哲学とか心理学とかその辺の学部は親和性が高いです。一方、文学とか考古学とかは微妙。

2. 数学アレルギーがあるかないか

文学部という時点で「高校時代数学から逃げていた」というイメージを持たれる方は結構いらっしゃるかと思います。確かに受験科目で数学が要求される大学はあまり多くありません。国公立大の個別学力試験で数学が必須なのは、東北大、千葉大の一部の学科、東京大、京都大、名古屋大、神戸大、九州大学くらいです。

それ以外の国公立はセンター試験/共通テストレベルで、めちゃくちゃ苦手でもせいぜい7割前後取って他教科でカバーすればOKです。

ということで、在学時は結構思っていましたが、かなり数学が苦手でも文学部に入ることはできます。私立大学なら共通テストすら要求されませんから、「二次関数ってなんですか?」レベルの人でも国英歴3点突破でOKです。

なので、いまだに覚えているのですが、必修の情報の授業で2進数とかビット反転の話とかが出てきて「2進数って何?」みたいな人がかなり多かったのは印象的でした。

また、日本語学科の専攻に進んで、コンピュータを使う演習で正規表現をやったのですが(これは大学で学んだことで業務にものすご~~~~~~く役立っている!ありがとうW先生)、この時も学科の同級生の半分以上は「??????」みたいな感じで歯もたたない、というところでした。このように、数学的なことに対して強いアレルギーがある人は難しいと思います。

裏を返せば、正規表現とか包含関係とか論理演算とかそういうのに拒絶反応が無ければプログラマーは行けます。

3. もともと興味があるか

もともと興味があって、独学していると文学部プログラマーになる可能性はぐっと高まります。というか、文学部からプログラマーになるにはそちらの道しかないといっても過言ではありません。別に授業で教えてくれるわけじゃありませんからね。

私がプログラマーを志した2015年ごろは、Pythonの書籍はほとんどなく、あってもオライリーの分厚いやつとかその辺しかありませんでした。しかも手持ちのPCはWindows7で、そもそも環境構築の時点で躓きました。その頃はWSLなんてのもありませんでしたから。2021年現在、Pythonの書籍は掃いて捨てるほど出版されて、ものすごく敷居が低くなりました。敷居が低くなるというのは概して良いことで、どんなに良い言語でも使っている人が少ないと言語としては衰退していきます。

あと、当時の自分にアドバイスするなら、「Windowsで頑張るのは時間の無駄だから何とかしてMacを手に入れろ」と言ってあげたいです。本当に無駄な時間でした。

4. とはいえプログラミング言語による

とはいえ、文学部出身の数学ⅢC未履修者が、物理演算マシマシのグラフィック描画沼とか組み込みとかそっちに突っ込んでいくのは無謀です。微積・線形代数が必須の分野はどうしても理系と比べるとスタートラインがはるか後ろです。

かたや、Webプログラミングはそういった難しい数学はほぼ不要です。(必要になったら適宜勉強しましょうね)

ですから、文学部プログラマーはWeb系で用いられる言語、JavaScriptやPHPやRubyやPythonあたりを習得しましょうね、ということになるのでしょう。

自己紹介

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sakurabar(さくらば)。1993年生まれ。修士(教育学)→中小企業でパソコンをいじる日々。ねこがすき。 お問い合わせはsakurabar0701あっとまあくgmail.comまで。 Twitter(@sakurabarss)のDMでも同じアドレスに通知が行きます。

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