2022/6/16(金)、道北旅行どきどきの5日目は稚内のホテルで5時起床。3日目の記事でも書きましたが、6月の道北は4時前にはもうすでに明るいので、概日リズムが狂いまくりです。
出立する準備は既に済ませてあったので、身支度をしてフェリーターミナルへ徒歩で移動。稚内駅付近からは大体徒歩で15分かからない程度です。
礼文島への行き方ですが、飛行機は休航なのでハートランドフェリーしか行く方法がありません。フェリーターミナル1階の自動券売機で、2等自由席の往復券をクレジットカードで購入します。1等や個室の場合は、ネットで予約ができます。
霧の中、フェリーに乗り込み6時半に出航。トラベルミン(エーザイの酔い止め)をごっくんして備えます。というかすぐ横になってひと眠りです。
結論から書くと、酔いませんでした。波が1m未満ということもあってか、利尻富士に雲がかかる様子をデッキから写真に収める余裕です。ということで約2時間で礼文島の香深フェリーターミナルに到着。
フェリーターミナルを降り立ち最初にしたことは、今日の宿へ向かうことでした。フェリーターミナルから歩いて5分程度です。「今日泊まるので要らない荷物を預かっていただけませんか?」と、着替えやら何やらを預かってもらい、バックパックを軽くしました。フェリーターミナルに戻り、バスの営業所で1日乗車券を購入。下調べ通り、PayPayが使えます。
1時間ほど香深港で時間を潰していると、バスがやってきました。これで最北端のスコトン岬に向かいます。
礼文島の東側に沿った幹線道路をひたすら北上して1時間程度。途中高校生が通学で乗ってきたりして「大変だなあ」と思ったりしましたが、スコトン岬に到着。本当に日本の果て、どん詰まりまで来たのだなあ、という感慨に浸りました。対岸に見えるのは海驢島(とどしま)、80年代から無人島になり本多勝一はかつて訪れたことがあるそうです。
ここからトレッキングの開始です。スコトン岬→ゴロタ岬→澄海岬→浜中の集落というルートです。旧名は「4時間コース」ですが、「4時間じゃ全然終わらねーじゃん怒」ということで、名称が変わったそうです。
スコトン岬からはしばらく舗装路を進みますが、15分ほどで分岐が。ここで右に進んでしまいましたが、おそらく左に曲がった方が風光明媚かと思います。右は廃漁村の横を通るルートです。自分以外誰も人が見えない道をしばらくすすみ、先ほどの道と合流します。
どう見ても完全に登山道ですありがとうございますという道をひたすら上ると、ゴロタ岬です。ここは車やスクーターではアプローチできないので、歩いてきた人だけが見られる特権です。山の上なのに海が見えるという絶景です。5~6人ほどのトレッキング客がご飯を食べたり写真を撮ったりしていました。
ここで汗を乾かして道を急ぎます。ここから海岸に下っていく道が、いわゆる礼文観光で「花の浮島」として紹介される写真かと思います。確かにこれは絶景かな絶景かな、日本でもここだけでしょう。海岸まで降り立つと無数の漂着物が転がっており、こういうのを見ると確かにSDGsや!プラスチック削減や!とか絶叫したくなる気持ちもわかりますが、プラスチックによって便利になった社会に生きている身としては何とも言い難いです。
↑この自販機は使えず
1時間ほど歩くと、鉄府(てっぷ)の集落に到着します。ここは集落の南端にトイレがあり人間の尊厳が守れるだけでなく、岬めぐりコース、8時間コース(難易度高、単独行は禁止)の貴重な休憩スポットであり、悪天候時はここから浜中集落へと舗装路が伸びているので引き返せる、という大事なチェックポイントです。
NTT東日本やNTTDocomoの通信塔や日本郵便のポストを見かけ、漁港があって人の気配があるってことは人が住んでるってことだよな、っていうかもしかして子どももいる!?となり、何とも言えない聖なる気持ちになりました。
トイレを済ませて道を急ぎます。また登りかいな、と登っていくと、先行しているおばちゃんたちに道を聞かれます。「崖下に見えてるのが澄海岬だと思うんだけど、道が通じていないのでは?」と。確かにそうです。あとから来た夫婦らしきトレッキング客とおばちゃんが合流して、とにかく先に進みましょうと先に行きます。私はプロテインバーを食べながら距離を置いて後に続きます。
結果、まっすぐ進んで崖を下りると、澄海岬(すかいみさき)への舗装路に連絡しているのでした。ということで澄海岬に到着です。天候は曇り模様になっていましたが、それでもスカイブルーの海は大変美しかったです。観光バスのガイドが「中島みゆきの「銀の龍の背に乗って」のPVはここで撮ったんだ」と言っていましたが、私は曲は知っていてもPVは見たことが無かったので、そうなんすね~という感想。
戻ってきてトイレの隣にある売店で、エビ汁(200円)を注文。疲れた身体に染みわたるだけではなく、結構な大きさの殻付きエビが5尾も入っており、心も身体もあたたまりました。出汁を堪能しながら「最高の贅沢とはおそらくこういうことを言うのだろう」と実感しました。
水が無くなっていたので150円でいろはすを購入し、道を急ぎます。といっても残りは全て舗装路。途中レブンアツユキソウというここだけしかない花の自生地で鑑賞します。おじさん曰く、おそらく今日明日が今年の見られる期間で、それ以降は花が茶色くなってしまう、とのこと。ラッキーでした。募金箱にちゃりんして道を急ぎます。
そして浜中集落に到着。ゴールです。
……が、乗りたいバスはこの浜中までは来てくれません。その少し東側の船泊集落の診療所が始発なので、そちらまで更に歩いていきます。ちなみに岬めぐりコースは休憩含めて3時間程度で何とかゴールとなりました。よかったですね。
エスケープルートが鉄府以外ないので、単独行はなかなか大変です。また、水を手に入れるところがスコトン岬の売店と、澄海岬の売店以外ないので、水は2L程度持っておかないといけなかったな、と反省。
浜中から歩きながら今朝稚内のセイコーマートで購入した油淋鶏サンドを食べます。
船泊の集落に着いてもバスの時間までは2時間近くあります。暇をつぶすために小中学校の近くを歩いてみたり、船泊マリンストアーという漁協がやっているらしい商店を物色してみたり(東京比較で3割り増しくらいの価格でした。魚は除く)、礼文町総合公園の裏の大備海岸で貝殻集めをしてみたり、漂着物あさりをしてロシア語で書かれた食器洗剤の容器を見つけたり、平べったい石を集めて海に向かって水切りをしてみたり(最高記録5回)しました。これで旅も終わりなんやな、という感慨が強く、色々なことが浮かびました。
診療所前に戻るとトレッキング客らしき男女が十数人たむろしていました。地元の小学生らしき子が何人も走り回っていたのが印象的。
バスに揺られて宿に戻ります。さすがに疲労コンパイル(おもしろITジョーク、ではなくぷよぷよが元ネタ)です。宿でチェックインして荷物を整理した後に、チェックイン時にもらったタダ券でフェリーターミナル隣の礼文島温泉うすゆきの湯に。
島内の温泉は全てここから配管されているので、ここに入れば礼文島温泉をマスターしたことになります。稚内温泉よりはしょっぱくありませんでしたが、ここでもサウナがあるので入り、水風呂でキマったあとに露天風呂の空きスペースでととのいます。思えば遠くに来たものです。
風呂から上がって今日の夕飯を探します。漁協直営の店が開いてるかな…?と突撃したところ、カウンターは余裕で空いていたので夕食にありつけました。
嬉しさのあまり、8カン2200円もする寿司をぱくつきながらサッポロクラシックを痛飲。中ジョッキと中瓶が同じ値段ならそりゃ瓶を頼むよね。名物のホッケのちゃんちゃん焼きを頼んだら「結構大きいですけど食べきれますか……?」と店員さんに聞かれましたが、トレッキングで疲弊している身、普段では考えられないおぞましい食欲であっという間に平らげました。
ウニ、すごく苦手な食べ物だったのですが、やっぱり本場で食べると全然違いますね。そりゃ確かに「北海道行ったら絶対にウニを食え!!!!!!」というのが分かります。鮮度が命の食べ物なので、そもそも獲れたところでのみ食べるのが正解のようです。
帰りは夜風に吹かれようと、香深集落から少し北に離れたセイコーマートまで歩いていきます。こんな離島でも、札幌・旭川と同じ価格帯で商品を提供するセイコーマートは偉大です。ガラナサワーを買って、まだ暗くなりきらない19時の香深への道をとぼとぼ歩きながら帰りました。何年か何十年かして、ふと今日のことをこうして思い出すのだろうな、としんみりした気持ちになりました。
宿に帰って日ハム戦を見ながら眠りに就きました。
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